セルフレジは過去数年にわたりあらゆるところで設置されるようになった、新しいテクノロジーとされてきました。パンデミックの影響もあり、接触を避けようとする一部のお客様はセルフレジを好み、また現在に至っては小売業界が直面している労働者不足のために、 米国のすべてのチェックアウトのほぼ 40% がセルフレジで行われています。いかし、セルフレジが普及したのは米国だけではありません。事実、世界的なセルフレジ市場では、 2021年から2026年までに、複合年間成長率 11.6% が見込まれています。

セルフレジの迅速な導入に伴い、そこで発生する盗難も急速に増加しました。損失を理由に、米国の大手食料品店、 Wegmans は、最近モバイル精算アプリの使用を停止しており 、 欧州の報道機関 は、「VICE」が掲載したセルフレジで一月に €400 もの商品を盗んでいた学生のストーリーを報じました。

便利なセルフレジに需要があることは明らかなので、小売業者は針路を反転させることはできません。しかし小売業者は、利便性と円滑な体験を提供することと、それに伴う損失の増加との間の微妙なバランスをどうに維持すればよいでしょうか？

新しい方針やソリューションを導入する前に、小売業者は、セルフレジでの課題に対し、慎重で戦略的アプローチを検討する必要があるでしょう。

「セルフレジを迅速に導入することは、小売業者が考える顧客の要求に応えるための対応でした」と、Sensormatic Solutions の Smart Sensor Technology Director、Ned McCauley は言います。「現在、小売業者は、セルフレジで生じている多額の損失に対応を迫られています。こうした迅速な対応によって、短期的な成果は得られたかもしれませんが、多くの場合、顧客体験にマイナスの影響をもたらしたり、長期的に見て収益に影を落とす可能性もあります。」

「戦略化」するのではなく、「反応」型の対応をすると、急速な導入プランという結果を招き、最終的には Shopper Experience とブランドを傷つけることになってしまいます。McCauley によれば、小売業者はその代わりに、店舗で生成されたデータをまず理解することが重要だ、と呼びかけます。

「セルフレジはまぎれもなく、損失を増加させる一定の効果をもたらしましたが、実際に セルフレジで発生している損失はどれくらいなのでしょうか？」と、彼は疑問を投げかけます。「店内の他のエリアと比較して、セルフレジで何が窃盗に遭っているか実態を正確に把握できていますか？それとも、それを把握できるその他の方法を現在ご使用ですか？この情報が得られて、初めてセルフレジが最大の問題領域であることを知ることができます。しかし、これが正確に把握できていないのであれば、無駄な時間と費用を投資してしまうことになりかねません。」

しかし、セルフレジが実際に損失の主な原因 である ことが明かになった場合は、それを阻止するためにどのような対策を取ることができるでしょうか？

デューデリジェンスを終え、セルフレジが損失の最大の原因であることを特定したら、次に行うべきことは、出来心の犯罪者がこの脆弱なエリアを悪用しないようにするための措置に投資することを検討することです。

すぐに効果を実感できる 1 つの方法は、不審な行動者と、店内の商品との間に、わずかなフリクションを加えることです。セルフレジを導入したからといって、 電子式商品監視 (EAS) システム、ハードタグ、 ラベル による商品保護を断念する必要はありません。

ラベルのディアクティベーションとハードタグ除去をセルフレジ体験にシームレスに統合した場合、小売業者は、EAS 製品を保護しながら、商品保護を真剣に受け止めているのだ、という強力なメッセージを万引き犯に送ることができます。買物客は、セルフレジで購入した商品から EAS ハードタグを容易に取り外すことができます。また、Sensormatic InFuzion など、便利なワンピースタグを使用することで、買物客がタグを取り外す際にピンに触れずに 済みます。RFID 対応デタッチャを導入することで、タグを取り外す前に、購入したアイテムとタグが一致することを確認できるため、低価格アイテムと、高価格アイテムがスワップされる心配がありません。

小売業者が検討すると良いもう 1 つのベストプラクティスは、セルフレジに Public View Monitors を展開することです。セルフレジ領域とその近辺にこのモニタを設置しておくことで、潜在的な万引き犯に強力な抑止効果をもたらし、セルフレジがいつも監視されているのだということを知らせることができます。また、CCTV システムを活用して、セルフレジを常時監視することもできます。犯罪者は、犯行の様子を絶対にカメラで捕らえられたくないため、このような「監視の目」をさらに強化することで、万引き犯に犯行を思い止まらせることができます。

最後に、セルフレジにスタッフを１～2人配置して監視させたり、レシートをチェックさせることができます。追加のスタッフを配属することで、清算手続きでアシスタントが必要な顧客に対応でき、セルフレジでの意図しない窃盗を軽減することもできます。スタッフを追加する方法は、シフトを埋めるのに苦労したことのない南米で特に魅力的な方法かもしれません。しかし、労働者不足に悩まされている世界のその他の地域では、このような方法は継続できなかったり、場合によっては不可能かもしれません。

また近い将来、小売業者はセルフレジで Computer Vision 技術を利用できるようになるでしょう。このテクノロジーは、商品の隠匿や、スキャン忘れなど、セルフレジでの犯罪行為を監視できるほどまでに進化しています。革新的なソリューションプロバイダーとのパートナーシップにより、小売業者は、セルフレジで犯罪が減らない実際の問題を Computer Vision 技術を使って特定することができます。

小売店特有の犯罪など、セルフレジの課題は、今後も続くことが予想されます。幸いにも、それを緩和できる多数のソリューションがあります。Computer Vision や Public View Monitors などのソリューションを展開し、商品保護テクノロジーを使用して「対策の堅牢化」を図り、ハードタグの除去とラベルのディアクティベーション技術をセルフレジプロセスに統合することで、セルフレジで発生する損失に対策を打ち、潜在的な窃盗犯が行動を起こす前に阻止できる可能性があります。

しかし、これらは店内の不審者に対する対抗策のほんの一例にすぎません。世界中で損失を増長させている詳しい要因や、大手小売業者が取り入れている効果的な戦術やテクノロジーに関する実行可能なインサイトについては、当社の最新のホワイトぺーパー、 「（パンデミック後の世界の小売安全対策」 をご覧ください。